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  24時間介助のボランティア「こんな夜更けにバナナかよ」

                                   2013年09月08日  14:29

 
      
       
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 「こんな夜更けにバナナかよ」。(著・渡辺 一史)
 この本の題名がとてもいい。この題名に出会ったとたんに記憶に残ってしまっていた
 ので、本まで読んだような気がしていた。
 本屋で、文庫本になったその本を拾い読みして、あらためて僕は読んでいない事に
 気がついた。

 ● 不思議発見だね
 この本は筋ジストロフィーの鹿野靖明さんと、彼を支える学生や主婦らのボランティ
 アの日常を描いている。

 著者の渡辺一史さんが、書いている。

 鹿野さんほど “美談” の似合わない障害者はいない。
 超ワガママで目立ちたがり屋。
 介助者に「あれしろ、これしろ」を容赦なく要求する一方で、「もうダメだ。死にたい」な
 どと言い出して、周囲を慌てさせることもしばしばだった。

 また、普通、カラダが動かないと、まわりの人に対して、「お世話をかけて」「申し訳な
 い」といった卑屈な気持ちになりがちだが、鹿野さんにはそういうところがまったくな
 い。むしろ、「障害が重いこと」を逆手にとって威張っているような雰囲気さえあった。
 

   鹿野靖明

 この本の内容がすごいのは、自分の中にある、「人に頼りたくない」「人の助けを借り
 たくない。」という常識がひっくりかえるところだ。それに、内容が濃すぎて他の読ん
 でいる本の内容が薄く思えてしまうほど。また、この本のなかには多くの新しい発見
 が潜んでいる。

 この本のプロローグから、もう何か自分やその周りの日常と違いすぎて、言葉を失う。
 そのプロローグの一部を以下に抜粋。

 できないといえば、この人には、すべてのことができない。
 かゆいところをかくことができない。自分のお尻を自分で拭くことができない。眠っ
 て いても寝返りがうてない。すべてのことに、人の手を借りなければ生きていけない。

 さらに大きな問題があった。

 35歳のとき、呼吸筋の衰えによって自発呼吸が難しくなり、ノドに穴を開ける「気管
 切開」の手術をして、「人工呼吸器」という機械を装着した。筋ジスという病気が恐ろ
 しいのは、腕や脚、首といった筋肉だけでなく、内臓の筋肉をも徐々にむしばんでゆ
 くことだ。

 以来、1日24時間、誰かが付き添って、呼吸器や気管内にたまる痰を吸引しなけれ
 ばならない。放置すると痰をつまらせ窒息してしまうのである。

 「なんでコイツ、24時間介助されてて狂わないんだろって、みんなが不思議がるわけ
 さ。そこでいろいろと発見が始まる。―――――不思議発見だね」
 身動きできないベッドの上で、鹿野はそういって愉快そうに鼻を鳴らす


 ● なんでも聞いてやろう
 ところで「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルは、ボランティアの国吉智宏(くに
 よしともひろ)氏が、夜中に鹿野靖明さんに「バナナを食べたいと」言われて思う、
 「こんな真夜中にバナナかよ」というつぶやきから、取られている。

 ある日の深夜に、簡易ベッドで眠っていた国吉は鹿野の振る鈴の音で起こされた。
 「なに?」と聞くと「腹が減ったからバナナ食う」と鹿野が言う。

 内心、ひどく腹を立てた国吉は無言でバナナの皮をむき、無言で鹿野の口に押し込
 む。2人の間には、言いしれぬ緊張感が漂っていたという。
 「それに鹿野さん、食べるスピードが遅いでしょ。バナナを持っている腕もだんだん
 疲れてくるしね。
 で、ようやく1本食べ終わったと思って、皮をゴミ箱に投げ捨てて・・・・・・」

 もういいだろう。寝かせてくれ。そんな態度を全身にみなぎらせて、ベッドにもぐり込も
 うとする国吉に向かって、鹿野がダメ押しでさらに要求。
 「国ちゃん、もう一本」

 なにィー!という驚きとともに、鹿野に対する怒りは急速に冷えていったという。
 「あの気持ちの変化は、今でも不思議なんですよね。もう、この人の言うことは、な
 んでも聞いてやろう。あそこまでワガママがいえるっていうのは、ある意味、立派。
 そう思ったんでしょうか」と、著者に答えている。

 しかし、ぼくにはその「なんでも聞いてやろう」と思う事への変化がよくわからない。
 反感の表明を継続することより、共感もしくは従順を装う事のほうが、自分にとって
 楽だったりするものだ。それが全てとは言わないが、そうゆう心情も入ってはいない
 のだろうか?

 だからこそ、夜中にバナナを要求され、「こんな真夜中にバナナかよ」というつぶやき
 こそが、ボランティアという立場を離れて本心から出てきた言葉に思え、現実の重み
 が感じられる。

 ● ちんちんは海綿体
 この本のなかには、鹿野靖明さんの性に関する記述もみられる。
 「太郎、今日は”人妻もの”でいくわ」と鹿野がいうと、「よっしゃー」と、レンタルビデオ
 屋へ走る。ベッドの前のビデオをセットし、パンツを脱がせ、ティッシュを3〜4枚握らせ、
 「あとはよろしくッ」と居間に引っ込むという。

 鹿野さん本人が語ったことなのだが、前の奥さんも誤解していたらしい。筋ジスって
 チンチンも起たなくなる病気だと思ってたという。筋ジストロフィーという病気は筋肉
 がダメになっていくが、ちんちんは海綿体だから大丈夫だとの事。
 これは、ぼくは知らなかった。

 この本のなかには、鹿野靖明さんの結婚生活も出てくる。
 寝たきりにはなっていなかったときの、車イスで生活していたときの時の話だ。
 娘の鹿野さんと結婚するという話を聞いて、彼女の母親は、「娘の将来はどうなるの」
 「お願い、娘をだまさないで」と鹿野に泣きつき、声を荒げるばかりだったという。
 結婚は5年で壊れる。
 なぜ、離婚に至ったのかという、経過も興味深いエピソードにあふれている。

 解説で、山田太一が述べている『546頁の、どの頁をひらいても、読む人の心に届く
 なにかがきっとある本です。』という言葉がまさしく当たっている。
 ぼくのように、『ボランティアを一回も自ら行った事がない、今後もどこか偽善くさくて
 するとは思えない』と、思っている人こそが読むべき本なのかもしれない。

             

  

 



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